第90回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和 4年1月7日(金);午後7時~8時30分

<症例>

70歳代 男性

<傷病名>

原発性肺扁平上皮癌、関節リウマチ、リウマチ肺、高血圧症、糖尿病、脊柱菅狭窄症

<発表者>

座長は、旭町内科クリニック;森岡 明 医師
① 家族状況などの説明
  八幡浜医師会居宅介護支援事業所
      清水 建哉 ケアマネージャー
② 症例報告
  三瀬医院  片山 均 医師
③ 訪問看護の経過について
  セントケア訪問看護ステーション
      所長 松平 直美 看護師

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

<議論の要点とコメント>

●ACPを実践するタイミングについて。

●亡くなる前に「何でこうなったんだろう」と発せられた患者さんの言葉に、どの様な声掛けがよかったのか。

●多疾患併存の患者さんが亡くなられたときの死亡診断書の記載について。

<職種別参加者数>
合計 67名
医師 12名 社会福祉士 4名
歯科医 2名 ケアマネ 12名
保健師 6名 介護 8名
薬剤師 4名 その他 2名
看護師 16名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 医師

    扁平上皮癌に対する化学療法がもっと多岐に渡ってもよかったのではないでしょうか。もっと別の化学療法があったのではないのかと思いました。

    即答できない問に対して、もっと具体的に質問の内容を問い、教わることの重要性を知りました。

  • 薬剤師

    「何でこうなったんだろう」と独り言や愚痴も単に聞いてほしいだけの可能性もあると思いました。頷いて聞くだけでも本人は少し救われる気持ちになると思いました。

  • 医師

    毎回事例検討の質が高くなっていることを実感します。毎回自分自身の勉強にもなっていて有難く思います。

  • ケアマネ

    今回の症例は、ご本人の思いについての対応がとても勉強になったと思います。寄り添いながら頷きながら、手を握ったり、背中をさするようなことがその時自分ならできたのか、そのような雰囲気や表情でなかったら何もできなかったのか、と考えながら皆様のご意見を聞かせていただきました。

    現在、緩和ケアを行っている担当の患者様もいますのでその方の場合はどのような言葉、表情、思いを残されるか、しっかり受容的に接することができるようにしていきたいと思いました。

  • ソーシャルワーカー

    自分が関わった方が、在宅でどのように過ごされたかがわかってよかった。症例検討会の中で出ていました「教わる」と「察する」というキーワードを意識して、今後も支援に関わらせていただきたいと思います。

  • 看護師

    患者、家族の真のニーズを聞くことは、病院でも在宅でも難しいことが実感しました。自分自身も苦手な所なので今後も色んな症例を通して勉強していきたいと思います。

  • ケアマネ

    私もがんの方で、亡くなる前日に「何でこんなになったんやろ」と全く同じ言葉での問いかけを経験しています。その時のことを振り返ったり、自分自身で検討したりと深く考えることができました。私も「辛いなあ」ということしかできませんでした。

  • 保健師

    患者様の声掛けについて、色々な意見が聞けて勉強になりました。このような場面を取り上げて症例検討会で報告していただくと関係者間で共有できるのでありがたいです。

  • 看護師

    訪問看護師さんが「何でこうなったんだろう」という患者さんの一言に、どう声掛けしてよいか迷われていましたが、私も同様の経験を何度もしてきました。何も言えなったこともあり、「どうしてそう思われてるのですか」と聞いたこともありますが、結局正しい答えはないように思います。

    患者さんの言葉にどのような思いがあったのかを考え、寄り添えることが何より重要なことではないかと思うので、まずそのことを振り返られたことがすごいと思いました。

  • ケアマネ

    「なんでこんなことになったんやろ」現実に戸惑い、落ち込むご本人に対して私たち支援者は、いつの場面でもどんな言葉をかけてあげたらいいのだろうと悩んでしまいます。でも、今回の意見交換のなかで、ご本人の戸惑っているその言葉を拾い、なぜそう思われるのか「教わる」のも良し、ただそばにいてそっと体をさすってあげながら寄り添ってあげるのも良し、正解はなくその場の雰囲気に応じてご本人が穏やかな時間を過ごすことができるように私たち支援者は関わっていけばいいのだという助言をいただいたので、これからの支援に活かすことができそうです。

  • 医師

    慢性心不全、慢性呼吸不全等がん以外の看取りも悩みどころが沢山あるようです。

  • 医師

    日本におけるスピリチュアル・ペイン研究者の一人である村田久行先生(京都ノートルダム女子大学特任教授)は、スピリチュアル・ペインを「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」と定義し、さらに人間の存在が、時間の中での存在、周囲との関係の中での存在、セルフコントロールすなわち自律できる存在によって成り立ち、これらの存在が死によって脅かされることによりスピリチュアルな苦痛が生じると指摘しています。今回の事例で、亡くなる前に「何でこうなったんだろう」と言われた患者さんの言葉の背景には、その言葉を発するまでにさまざまな思いがあったことだとと思います。それらを察しながら言葉がけをすることにベストな回答はないでしょう。コミュニケーションの場面でノンバーバル(非言語コミュニケーション)な部分、その態度や姿勢にも「話を真剣に聴いています」というメッセージを込めなければならないでしょう。患者さんのそばに座り込む、核心に話が及んだ時には、患者により近づきその距離を縮め、時に手や肩に触れるなどが有効でしょう。以下に参考論文を記載しておきます。URLをクリックすると論文を参照できます。

    村田久行先生の論文
    「終末期がん患者のスピリチュアルペインとそのケア」
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc/18/1/18_10-0009/_pdf

第89回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和 3年12月3日(金);午後7時~8時 30 分

<症例>

70歳代後半 男性

<傷病名>

前立腺癌

<発表者>

座長は、旭町内科クリニック;森岡 明 医師
① 家族状況などの説明
  八幡浜医師会居宅介護支援事業所;清水 建哉 ケアマネージャー
② 症例報告
  中野医院 中野 憲仁 医師
③ 訪問看護の経過について
  八幡浜医師会訪問看護ステーション;所長 坂本 美恵子 看護師
④ 訪問介護・訪問入浴
  セントケア八幡浜
   沼田 美幸 介護福祉士
   片岡  聖 介護福祉士

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

<議論の要点とコメント>

●中部地方に在住の方で、退職後趣味のスポーツを楽しんでいたが、前立腺がんを発症し治療されていた。自己判断で時々治療を中断。背景には治療医とのコミュニケーション不足があった。歩行困難になってから八幡浜に帰省、在宅緩和ケアの導入となった。

●歩行機能の回復を希望されているのなら、脊椎転移巣への放射線治療も考慮してもよかったのではないか

●介護スタッフのかかわりで、最後まで生活場面でのQOLを維持できたことは、今後の緩和ケアを考えるうえでおおいに参考になった。

<職種別参加者数>
合計 67名
医師 8名 社会福祉士 4名
歯科医 2名 ケアマネ 14名
保健師 4名 介護 11名
薬剤師 7名 その他 0名
看護師 16名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 保健師

    今回のケースでは、ご本人の望む最期を迎えられ、家族や関係者とともに歩まれた様子が感じられました。「支援する」以上に関係者が温かく見守りことで過ごせる時間の大切さを感じました。

  • 薬剤師

    本人の気持ちにストレートに関わっていけるケアが大事で、そのうえで医療の色々な提案も大事だということがわかりました。

  • 看護師

    4月に予後半年と告知され、本人さんの意思決定で自分で選択した予後をすごされ、納得して病気と向き合い余生を送られたのだと思います。

  • 薬剤師

    今回の症例では、終末期を穏やかに過ごされており、ヘルパーさん、ご家族が柔軟に対応していた面がより最期まで穏やかに過ごすことができたのだと感じられました。

  • 医師

    人を看る在宅チームの力を改めて認識できました。

  • 薬剤師

    今回の患者さんは、ヘルパーさんとの関係性が良好に築けていたように思いました。ヘルパーさんが状態変化を認識され、他職種との連携もスムーズだったと思います。本人さんの性格や妹さんとの信頼関係、ヘルパーさん達の関わり方が上手くいって在宅で過ごせたことはよかったと思いました。

  • ケアマネ

    本日の症例では、ご本人様と介護スタッフとの関係性が良く、大好きなコーヒーを2回も飲みに行けたりして、とても前向きな姿勢がすごいなと思いました。予後宣告された時、ご本人様は意思の強い方ですけど何かの不安とか絶望とかが無かったのかと思いました。やっぱり最期は生まれた故郷に帰りたいと思ったのですけど、長野県での生活も忘れられない環境だったから、妹さんが遺骨を長野に持っていき、友人とお見送りされたのは感動致しました。

  • ケアマネ

    今回の事例は前医の処方した薬に対してやリハビリに対する不信感を抱えられたまま、八幡浜に帰られ最期までご自宅で過ごすことができた事例でした。支援された皆様がご本人の発言(せん妄など)や自己決定に寄り添い、その気持ちがご本人やご家族に通じ、信頼していただけたからこそ穏やかな生活が最期まで送れたのだと感じました。ヘルパーさんの支援が中心となり支援が進んでいきましたが、不安なこともたくさんあったかと思います。それでも安心して支援が行えたのは、中野先生や医師会の訪問看護の皆様が傍にいてくださったからだとも感じました。今回の事例を通じて、連携することの大切さを改めて学ぶことができました。

  • 介護士

    多職種連携により、患者様の目的を理解し、ご本人様だけではなく家族の精神的ケアに努め、在宅での介護負担軽減と家族間の残された時間を楽しく過ごせたケアに感激しました。病状の進行から、状態に合わせながらの薬の投与については、亡くなった後では正解かどうかは聞くことができませんが、ご本人様の痛みに耐えながらの生活をご家族様が支えて行くには大変なご苦労が想像できます。ご本人様の最後まで自分の生活スタイルに意志を持ち、秘境に行かれてコーヒーを飲まれたり、意欲を持ってリハビリをされた姿を想像すると、最後まで全うされたのではないかと思います。

    訪問介護、訪問入浴は状態によっては、数回しか提供できないサービスだと思いますが、ご家族様への対応についても非常に大切なことで、そこに関わるスタッフさんのコミュニケーション力と状態に合わせた入浴方法に在宅サービスを担っていることの素晴らしさ、他職種連携の素晴らしさを再認識しました。

  • 社会福祉士

    終末期の緩和ケアの過去の事例と比較して、最後まで医療面のケアの必要性が最小限だったため、ヘルパーさんがメインの支援の事例でした。看護師ではなくヘルパーが訪問することで、「終末期のケアに入る」という形ではなく、「日常のケアに入る」という形で、本人も家族も自然な形で予後を過ごすことができたのではないかと感じました。

    事例資料の報告を読んで、ヘルパーさんや訪問入浴のスタッフの方が自然体で接してくださったおかげで、知人や親せきの子がやって来て手伝ったというような関わり方のイメージを持ちました。本人のQOLを尊重できた支援だったと思います。

  • ケアマネ

    今回の症例検討会で改めて介護の力の必要性を感じました。また、家族関係の良さ、ご本人の性格が良くわかり、自己決定力、告知に対しての理解力、家族の介護力等ご本人らしく最期を迎えられる必要が整っており、支援の方向性などスムーズに事が運べておられ、担当ケアマネ様の調整も素晴らしいと感じました。私もケアマネとして今回の症例等を参考にさせていただきながら適切な支援ができるよう精進したいと思います。

  • 介護士

    今回は患者様と波長が合い、結果、よい看取りができたように思います。今後も患者様に合わせてケアを目指します。

  • 介護士

    まだまだ直接、医療関係者の方々と関わることが少ないので今後少しずつ勉強していきます。

  • 介護士

    第一に患者様のことを考え行動しなければならないと思いケアに入りました。そこに介護者の家族様がいらっしゃれば日々の会話で、どのような気持ちで、どうされたいのか等汲み取り関わっていけたらと思います。少しでも寄り添っていけるようにとケアに入っていきます。

  • 介護士

    今回の事例では、自分たちも関わったこともあり振り返りに良い機会になったと感じました。本人様の穏やかな様子が印象的で、事例で話されていたような言動がなかったこともあり驚く面もありました。今回の事例を通して普段の多職種との情報共有の大切さも感じることができました。

  • 医師

    在宅医療は、患者・家族を中心として、医師、訪問看護師、ケアマネージャー、薬剤師、リハ専門職、 作業療法士、言語聴覚士、ヘルパーなど、様々な職種が関わりチームを形成しています。在宅医療の現場では日々、さまざまな問題が発生しますが、各職種の特性を考慮に入れながら、チームで対応して行くことになリます。 今回の事例では、ヘルパーサービスの力が患者様の日常生活支援におおいに力を発揮され、精神的、社会的ケアに大きく貢献した事例でした。勉強になりました。

第88回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和 3年11月5日(金);午後7時~8時 30 分

<症例>

50歳代後半 男性

<傷病名>

上咽頭がん、全身多発転移

<発表者>

座長は、矢野脳神経外科;矢野 正仁 医師
① 家族状況などの説明
  八幡浜医師会居宅介護支援事業所:清水 建哉 コーディネーター
② 症例報告
  旭町内科クリニック:森岡 明 医師
③ 訪問看護の経過について
  訪問看護ステーションSetsukO:所長 菊池 世津子 看護師

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

<議論の要点とコメント>

●大学病院からの早い段階での紹介で、在宅医療導入まで十分な期間があり、終末期には本人、家族との信頼関係もしっかり築けたたこと。

●主たる介護者である奥様への訪問看護のきめ細かい心配りが介護不安の軽減につながったこと。

●こころのケア的点滴について。

<職種別参加者数>
合計 71名
医師 10名 社会福祉士 2名
歯科医 3名 ケアマネ 14名
保健師 6名 介護 5名
薬剤師 8名 その他 2名
看護師 20名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 医師

    「早めの介入」の重要性を改めて実感致しました。今後の外来診療において、気を付けたいと思います。微力ながら、周囲にも啓蒙していければと考えています。

  • 薬剤師

    ステロイドのベネフットは短期で得られ、リスクは長期で顕著になることがターミナルの患者さんのQOL向上になっているのだと改めて思いました。胃腸障害の好発時期も3カ月と言われており、内分泌系の副作用プラス免疫系の副作用もそのぐらいなのかと考えると「いつ」「どのような患者」に使うべきかが納得できるように思われました。

  • 薬剤師

    介護する側の気持ちで、患者さんの症状によって虚無感を感じることがあるということがわかりました。「妻は何もしてあげられないと訴える」ことは考えさせられました。「介護不安に対し医療的なことは医療従事者が、家族は本人の精神的支援の役割を担うことが中心であること」が大事だと思いました。

  • 薬剤師

    今回の症例において、訪問看護ステーションSetsukOさんのご家族に対しての声掛けや介護に対する不安を汲み取る姿勢に大変感動しました。外来通院から訪問看護にスムーズに移行するにあたって、薬局においても、他薬局間、病院薬剤部との薬薬連携が改めて重要であると感じました。

  • 保健師

    早い時期から本人、家族に関わり、状態に合わせた距離感で側にいてあげられることは、とても心強い事だったのだろうと感じました。病気と闘う力になったのではないかと思います。医療面だけでなく、精神面で支え、関わりの重要性を改めて感じることができる症例だったと思います。がんの治療をされている患者さんと接する中で、松山などの病院へ行くことは、治療への希望にもつながり期待も大きいのですが、治療ができないと言われ近隣の病院を紹介された時の精神的なショックや不安が大きいことをよく聞いたりします。その点で病院間の連携、人と人の繋がりはとても大事だと感じました。

  • 看護師

    不安を抱える中での在宅での生活をたくさんの方々が支え、サポートして頂ける環境は、私も1人の住民としてとても心強く有難いことだと思います。経験不足、勉強不足を痛感していますが、支える側として色々な事例を通して、学びを深め実践につなげていきたいです。

  • 看護師

    今回の患者さんも年齢が若く、関わり方をどのようにされたのかとても気になりました。かなり早い時期から併診していたようで、かかわる医療者と家族、本人との関係性ができており良かったと思います。在宅のスタッフの方々の力がとても重要だと思いました。あと気になっていたのが患者さんのお母さんですが、元気で本人さんの様子を見に行っていたのにワクチン接種後寝たきりになってしまったことです。急な家族の変化に、本人、他の家族も心配になったし、介護や支援する人が増えることになるので、そのあたりの生活や精神的状況の変化があったのかもしれません。

  • 福祉用具専門相談員

    今回の症例で感じるのは、いつも考えているご本人、ご家族と自分の職種としてどう関わっていくかということです。福祉用具で身体の痛みを抑えるには限界を感じます。終末期にはやはり直接関わっている看護師、ヘルパーさんに頼ってしまいます。しかし、自分自身が利用者、家族様の気持ちに寄り添った声かけやサービスの提供が行えるよう、柔軟性と気持ちの引き出しを増やしていく必要性を忘れずにいたいと思います。

  • 看護師

    早期から治療医療機関と地元のかかりつけ医との連絡が適切に図れた素晴らしい症例だと思いました。当院でもできるだけ早期から地元での併診をと取り組んではいますが、医療費の問題や患者、家族の思いや、主治医の考え等によりなかなかすすんでいません。こういった症例を出して、当院でも地元との連携を推進していければよいと思います。

  • 臨床検査技師

    緩和ケア、しかも在宅となると臨床検査技師には現状関わる機会が殆どありませんが、お話を聞かせて頂くことで日常業務における患者様への対応に変化が出てくるのだろうと感じます。私の家族にも悪性リンパ腫で数か月入院し、幸いにも今は完全寛解状態となったものがおります。

    「死」と言うものを覚悟した人達は人生観が大きく変わることをその時痛感しました。緩和ケアに関わる人たちは症例を重ねるごとに人に対する思いやりの気持ちが強くなっていくのかなと想像します。今回のような症例ばかりではないと思いますが、私も何かでお手伝いが出来ないのかと思ったのが率直な感想です。

  • ケアマネ

    ご本人のお世話を一生懸命されて頑張っている家族の姿を見て、支援者側は「本当によく頑張っている」と思いますが、当の家族は「何もしてあげられない」と言われることは多々あるかと思います。ご本人が、痛みに苦しんでいる姿を見てその症状を取り除いてあげることができたらいいのにという思いこそ、家族の辛さだと思います。

    「そばにいるだけでいいんですよ。」ちょっとした一言の大切さ。今回の事例に限らず、私たち福祉・医療分野で仕事をする者にも共通して通じる言葉だと思います。

  • 介護士

    今回の症例の方は、僕とも同じ年代なので、とても身に思う所があります。

    でもこの方、ちゃんと病気と向き合い、戦ってきた。家族のふれあいや絆をすごく感じました。息子さんたちも不安の中、自分には何ができるだろうと考えてしまうのは、わかります。でも訪問看護師さんからの一言で楽になったと思います。

    そういう寄り添う事の大事さを感じました。

    訪問入浴でも寄り添えるケアができるようしていきたいと思います。

  • 介護士

    今回学んだことは、「一言の大切さ」、医療は身体ケアを見るのではなく、精神的緩和に影響すること、治療方法にご本人様の意思決定を優先にすることです。

    最後まで尊厳を保持するということは、ご本人様の意思決定を大切にするということ。

    意思決定を大切にこれからの看取り場面で意識を持って関わっていきたいと思います。

  • 医師

    病院主治医が「病院は患者家族にとってアウェイである」と意識することが重要で、早い時期から在宅医に繋げ併診したことで在宅緩和ケアへの移行がスムーズにできたことは今回の検討会でのポイントになったのではないかと思っています。本来、家にいればできたことも、病院に入院していると遠慮してできないという場面も多くあります。家族が泊まり込むこと(現在はコロナ禍のためそれはできませんが)の負担や面会者や面会時間、持ち込みの制限があるかもしれませんし、音などに気を遣うこともあります。

    家族が遠慮して、本来必要な看取りのプロセスやケアに十分参画できない可能性について病院医療者は常に気を配る必要があります。本症例で、息子さんたちとの面談で、「本人の希望通りにさせたい。病院にいても家に帰りたいとばかり言っていた。」(令和3年6月30日の記事)という発言が印象的でした。

第87回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和3年10月1日(金); 午後7時~8時30分

<症例>

40歳代 男性

<傷病名>

膵癌

<発表者>

座長は、旭町内科クリニック;森岡 明 医師
① 家族状況などの説明
  八幡浜医師会居宅介護支援事業所:清水 建哉 コーディネーター
② 症例報告
  伊方町国民健康保険瀬戸診療所:角藤 裕 医師
③ 訪問看護の経過について
  セントケア訪問看護ステーション:所長 松平 直美 看護師

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

<議論の要点とコメント>

●医療資源の少ない過疎地での多職種連携の考え方や在宅医療開始時のカンファレンスなどの意義について。

●「最期まで、家族と過ごしたい」ということこそ、ご本人の死生観であり、そこから在宅ケアの在り様を考えることの大切さについて。

●「町内に調剤薬局がなく、休日時の緊急処方薬の取り扱いについて。

<職種別参加者数>
合計 63名
医師 11名 社会福祉士 3名
歯科医 0名 ケアマネ 15名
保健師 4名 介護 6名
薬剤師 8名 その他 1名
看護師 14名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 看護師

    今回の症例の患者さんがわりとスムーズに連携できたのは、もともと県立中央病院で角藤医師のことを知っていたので、相談がしやすかったことです。ご本人、奥様も在宅や地域の先生を頼ってくれたことも大きいのですが、やはり顔の見える連携が大切だと思います。事前に清水ケアマネにも相談していたのですが、早く連携をしなくてはならず、状況として治療を続けていく方向になっていたものの、予後に時間がないと感じたので、早く清水ケアマネ、角藤医師が対応していただいたことで、自宅で最期まで過ごせたのだと思います。訪看の方々も大変お世話になりました。本人、家族に寄り添って十分に対応して頂いたと思います。連携した後の様子が聞けれたことは、私自身の勉強にもなりました。

  • 看護師

    皆様のお話の中に、在宅医療に携わる中で、在宅医と訪問看護の信頼関係がいかに必須であるのかを学ぶことが出来ました。

    以前、私も緩和ケアに携わっておりましたが、患者様がご逝去された後には、自責の念が強く残り、そのことが積もった結果、バーンアウトしてしまいました。現在は、管理の立場から仕事をしている中で、ターミナルケアについて考えております。この課題は、皆様共通のものであることを改めて知る機会となりました。

    ターミナルケアにおいては、ゴールが「人間の死」であることから、マイナスの面が多くなる傾向があるかと存じます。マイナスをなくしていくことはできないと思いますが、少しでもポジティブに考え、これからやってくる多死の時代に向けて、医療者である自分にできることを考えていけたらと思います。

  • 薬剤師

    状態変化時の対応や痛みのコントロールにおいて、多職種の方の情報共有、連携し緊急対応できる環境作りが大切であると同時に、距離があり訪問するのに時間がかかるケースでの状態変化時の麻薬などの対応が課題であると感じました。

  • 医師

    過疎地における在宅ケアの実践としてとても勉強になりました。八幡浜の連携が皆さんを繋いでいることを大変たのもしく思いました。この会はどこまで進化していくのか楽しみです。

  • 薬剤師

    先生が往診に行かれて大変ですので、薬局が行かない理由はないと考えています。そのために待機携帯も持っています。また、処方箋については、やはり手書き処方箋が良いと考えます。そして、その連絡方法はスマホアプリの手帳(ヘルスケア手帳)などの使用も一つかと考えます。

  • 薬剤師

    私が担当しているかかりつけの患者様の中にも伊方地域の方が何人かいますので、何かあった時、緊急時には何とかしてあげたいと思う一方で、平時については、オンライン服薬指導、郵送対応でなければ難しいように思われます。

    臨時の処方箋発行については、法令順守は担保しなければならないので、患者様宅に手書き処方箋を置いてもらうということは、薬剤師としては絶対にお願いしておきたいことです。この点は電子処方箋の導入で改善してほしいと思います。

  • 薬剤師

    今回は40代男性で社会資源の少ない伊方町での緩和ケアを受けながら自宅で最期を迎えられた症例でした。デュロテップMTパッチやアブストラル舌下錠やノバミンの使用法について勉強になりました。

  • 保健師

    今回も支援に関わられた医師、訪問看護師の発表はもちろんのこと、吉田様、太田様の奥の深いお話は、いろいろな角度からの視点、今後へのつなぎ等とても充実したものでした。

  • 介護士

    コロナ禍の中、特に在宅希望が増えてくると思うので今回の症例もとても良い勉強になりました。ご本人様はもちろんご家族の方も電話一本で訪看さんや先生とつながっていると言う心強さもあったと思います。在宅ケアで少しでも不安が軽減できるようにしていきたいと思います。

  • 作業療法士

    患者様との関り方やどのような声掛けをしていくのかということの難しさを感じ、寄り添うことの大切さを学ばせていただきました。

  • ケアマネ

    多職種による活発な意見交換がありとても参考になりました。医師、看護師、ケアマネからの振り返りを行うことで今後のケアに活かすことができるようになると思われました。また医療職ではない者にとっては病状の変化による対応などについての理解を深められる研修だと思います。

    医療・介護と協力しながら今後のケアに取り組むことができるようになればと思います。

  • 介護士

    地域に必要な設備や対応できる事業所が少ない中で、みんなができる事を協力しあって、ご本人様の思いや家族の思いを大切にして、連携ができたと思いました。

    入浴介護も地域に必要なのは十分わかっているのですが、他事業所がなく、当所だけの対応しかないため、現状日々の件数も増えてきて、新しい方の受け入れがなかなかできなくて、悩んでいる所で、スタッフの採用を重点に何とか受け入れがスムーズにできる体制を作っていきます。

  • 介護士

    生産年齢人口減少の中、地域資源にも限りがあり、看取りケア等についても十分な対応ができにくくなっている現状を地域で感じています。

    そのような中でも、お客様宅まで片道40分から1時間掛けてでもお客様、ご家族様の想いに寄り添える営業所、訪問看護八幡浜営業所のチーム力に感動しました。

    どうしても効率を求めてしまいがちになる自分の意識にストップをかけることができました。

    ・お客様の想い(意思決定)、ご家族様の想いの実現に立ち会う。
    ・お客様、ご家族様とのコミュニケーション力の必要性。
    ・尊厳保持。
    ・医療(主治医)との連携による安心感。
    ・アセスメントシートにお客様の想いを【 】をつけて記入する。

    等、沢山学ぶことができました。

  • 介護士

    今回の症例を聞いて「動ける人が動く」ということの重要性を感じました。

    たとえご本人様やご家族様に近しい人じゃなくても動ける人が動くことでご本人様やご家族様への不安感の軽減や、安心感に繋がる事があるのだなと実感しました。

    いつも訪問看護だけでなく様々なサービスの導入のタイミングなどのご提案をさせて頂きますが、「今だ!」と思うタイミングが早かったり遅かったり本当にタイミングというものが難しいのだなと思いました。

    吉田さんが言われていた記録の残し方は訪問看護だけでなく様々なサービスに活かせる事だと思いましたので参考にさせて頂きます。

  • ケアマネ

    四国の最西端、佐田岬半島に位置する伊方町の外れで、医療体制も十分整っておらず、社会資源も少ない中、自宅での看取りは大変だったのでは…と検討会が始まるまでは思っていました。でも、ご本人の「家に帰りたい」という意思からスタートした時点で、チームケアは始まり、関係者間で情報共有しあいながら短い関わりであったとしてもご本人や家族に寄り添った支援ができるのだと感じました。「最期まで、家族と過ごしたい」ということこそ、ご本人の死生観であったのでは…という話がありましたが、私もそう思いながら今回の事例を拝聴いたしました。

  • 社会福祉士

    娘さん二人が母親のことを大切に思い、戸惑いながらも最期までみとることができて良かったと思いました。今回の事例では、他に同居する長女の夫や数回帰省した孫が、本人の見取りにどのように関わり、どのような思いがあったのかなと思いました。孫の帰省でサービスやケアマネの訪問がストップして、本人や家族は大変な思いをしたと記載がありましたが、孫の帰省は祖母に対する思いだったのか、他の理由があったのかも知れたら良かったです。

  • 介護士

    地域の在宅医療・介護資源にも限りがあり、また近隣市町の資源も含めても十分とは言えない現状があることを感じました。症例検討会での同業他社からのアドバイスやエール、関係機関やそれぞれのサービスへの質問等を行い、それぞれの職種で担えることの把握や理解を深めることが大切だと感じました。症例の振り返りを行うことで、少なからず心に残っている「これで良かったのだろうか」という気持ちや気付き・学びを整理し、今後に活かしていきたいと思います。

  • 医師

    私はもう20年以上も前、同じ地域で医療活動をした経験があり、角藤先生の症例報告を、当時のことをいろいろと思い出しながらお聞きしました。瀬戸診療所は私が退職後に新しく建設され、自治医科大学の先生方が赴任され若い力で地域医療に取り組んでいるとお聞きしていました。いつかはこの会で、佐田岬半島でご活躍される医療・介護・保健分野の先生方にお話をしていただきたいなと思っていましたが、それが実現してとてもうれしかったです。今後ともよろしくお願い申し上げます。

第86回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和 3年9月3日(金);午後7時~8時 30 分

<司会>

八幡浜医師会居宅介護支援事業所
  清水建哉コーディネーター

<発表テーマと発表者>

令和3年3月のアンケート結果について、心身医学の立場から、
「在宅医療・ケアと心身医学」
~八幡浜在宅医療研究会の10年の歩み~ と題して
 旭町内科クリニック;森岡 明 医師

<発表者>

2021年(令和3年)7月10〜11日(土・日)
第62回日本心身医学会総会が開催されました。
サンポートホール高松にて、日本心身医学会中国・四国地方会との合同企画として
「地域における心身医療」のテーマでシンポジウムが開催されました。
発表スライドと講演の基礎となった多職種の皆さんへのアンケート内容とその集計結果を以下にまとめました。

1)在宅医療・ケアと心身医学(日本心身医学会高松2021)
  PowerPoint プレゼンテーション (asahimachi-gp-clinic.com)
2)在宅医療・介護に関するアンケートのお願い
  210717onegai.pdf (asahimachi-gp-clinic.com)
3)アンケート集計結果
  210717kekka.pdf (asahimachi-gp-clinic.com)
4)アンケートでいただいたコメント集
  210726comment.pdf (asahimachi-gp-clinic.com)

<職種別参加者数>
合計 62名
医師 10名 社会福祉士 3名
歯科医 3名 ケアマネ 16名
保健師 5名 介護 3名
薬剤師 10名 その他 2名
看護師 10名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 医師

    八幡浜の皆さんの地域医療にかける情熱と実力が確実にアップしている躍動感を感じる会です。八幡浜の益々の発展が楽しみです。

  • 保健師

    八幡浜市と伊方町が行っている事業ではありますが、webだからこそこのように繋がることができるので、職域、地域に限られることなく今後も参加することができれば良いと思います。

  • 薬剤師

    患者様、ご本人の気持ちに寄り添うことの難しさを改めて考えさせられました。

  • 薬剤師

    薬剤師として薬の説明をするだけでなく、患者さんの愚痴などを聞いて、気持ちを落ち着かせることも、薬剤師としての仕事のひとつだと思います。

  • 介護支援専門員

    軽度の方を担当させていただくことが多く、実際に在宅医療に関わらせていただく機会の少ない私には、この会の存在はとても貴重です。これからも参加を続けて、少しでもスキルを上げられるよう努力したいと思います。

    前回の事例の振り返りでは、母としての想い、娘としての想い、麻薬を使うことへの想いということを考えました。同じ世代として、できるだけ娘たちにも母にも、今までと同じ生活を続けてほしい、自分自身も今までと同じようにいたい、という気持ちはよくわかります。その方の“守りたいもの”が何なのか、すぐに分からなくても、分かろうとする気持ちは、普段の関りから持てるようにしたいと思いました。

  • 薬剤師

    八幡浜在宅医療研究会を平成24年にどういう思いで立ち上げられ今まで続けてこられたかを知る良い機会となりました。多職種連携協働について、患者さん個々のトータルペインにどのように向き合っていくか、今後もこのような勉強会を通じて学んでいきたいと思いました。

    勉強会で教えていただいたことは、職種や人によって患者さんの態度が変わることがあること、得られる情報も変わってくることを教えていただきました。他の職種の方と情報共有することが大切だと学びました。

    痛みといっても身体的な苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛のどういった背景の痛みなのか考える必要性があると思いました。

  • 薬剤師

    患者さんの苦痛は身体的苦痛だけではなく、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛もあることを改めて学びました。それらの苦痛を少しでも軽くするために多職種連携やコミュニケーションが重要と思ました。今後は、患者さんのためにコミュニケーション能力の向上を図るとともに在宅に携わる機会があれば薬剤師だからこそ聞ける情報を聞き取りたいと思います。

  • 作業療法士

    いろいろな環境や対象者様の心理状態の中で、どのようなアプローチや声かけが必要なのか。また、在宅で利用者様が望んでいることを感じとりながら関わりをもつことがとても重要であると感じました。身体的な部分だけではなく、取り巻く環境や、言葉や隠された思いを感じ取りながら寄り添えるようにしていきたいと思います。

  • ケアマネ

    八幡浜在宅医療研究会の10年間の積み上げの成果は、この八幡浜在宅緩和ケア症例検討会で報告される中で、着実に「多職種連携協働」が実践されていることがわかります。

    私たちケアマネも、利用者様と関わる上でチームの一員として、コミュニケーションスキルの更なる向上を目指していけるように勉強をしていかなければと感じました。

  • 保健師

    10年の歩み、アンケート結果等すばらしい発表でした。とても勉強になりました。

    前回症例の振り返りも、考察が深まり、あらたな視点で事例を捉えなおすことができたように思います。事例を共有し、ともに考察すること、症例検討会の意義を強く感じる会だったように思います。

  • 歯科医

    前回の症例の答えに、自分の中で一つ答えを得られました。私の大学の先輩が先日、癌のため逝きました。享年43歳です。家族のために最後まで諦めず抗ガン剤治療をされたと聞いています。「楽になる」は他人の感情の押しつけであること、振り返って歯科医ではありますが、患者のニーズに応えること。また色々と考えさせられました。

  • 福祉用具専門相談員

    今回の検討会では、これまでの八幡浜市の緩和ケアへの取組みを知るうえで、貴重な資料内容でした。この10年間、皆様の努力や現在の多職種連携の構築に至るまでの苦労がわかりました。自分はまだ2年足らずの参加と関わりですが、これからも在宅緩和ケアに深く関わって行けるように知識と経験を増やしていこうと思います。

  • 医師

    保健医療福祉サービスに関わる専門職は、保健・医療・福祉サービスの受け手である人々のために最善を尽くすことを共通の価値として行動しますが、それぞれの専門性によって、問題の捉え方や判断の内容と根拠は異なることが多いです。

    多職種によるチームでサービスを提供する際には、それぞれの専門職の持つ価値観に相違が見られることも多く、心身医学的・倫理的課題に対する解決策を検討する場合であっても、ときに職種間での対立が起こる例もあります。多職種がチームとして多くの課題に向き合う際には、患者さん又は利用者さん等、もしくはその家族に対する目標のためにそれぞれの専門性を発揮することが重要であり、その立場は対等です。しかし、対立を避けたいという思いや相手の立場への配慮や遠慮から、発言や提案をあきらめてしまうことも少なくないと思います。この会が自由に発言や提案をすべての職種ができるような会に発展することを望みます。

第85回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和 3年8月6日(金);午後7時~8時 30 分

<症例>

40歳代後半 女性

<傷病名>

尿膜管癌

<発表者>

座長は、旭町内科クリニック;森岡 明 医師
① 家族状況などの説明
  居宅介護支援事業所 つわぶき荘:黒田 幸恵 ケアマネージャー
② 治療の経過
  市立八幡浜総合病院 泌尿器科:副院長 武田 肇 医師
③ 症例発表
  旭町内科クリニック:院長 森岡 明 医師
④ 訪問看護の経過について
  訪問看護ステーションSetsuko:所長 菊池 世津子 看護師
⑤ 調剤薬局の発表
  かざなみ薬局:阿部 隆三 薬剤師

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

<議論の要点とコメント>

●患者さんの態度や言動の裏に隠された社会的な痛みやスピリチュアルな痛みを理解することについて。

●患者さんの意思決定に思春期にある未成年の子供たちが重要な役割を持った症例で、このような背景を理解しながら患者さんがどのような生活を望んでいたのか、多くの視点からご意見が出された。

<職種別参加者数>
合計  74名
医師 8名 社会福祉士 5名
歯科医 1名 ケアマネ 15名
保健師 6名 介護 6名
薬剤師 7名 その他 2名
看護師 23名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 薬剤師

    本症例であったようにケアで重要な清拭をただやればいいというものではなく、信頼関係の構築のためにも患者さんの意見を聞きながら進めていく医療が大切であることを学びました。

  • 薬剤師

    本症例の患者さんは「我慢強い方」ということでしたが、ただ痛みに次要だけなのか、それとも誰かのために、何かのために思いを押し殺していたのか、色々考えさせられる内容でした。真の問題点、根っこの思い、そういったものを拾い上げられるようにしたいです。

  • 看護師

    今回の事例は、利用者の方が若く、色々な問題を抱えていて、それぞれの職種の方の関り等勉強になりました。

  • 薬剤師

    今回の患者さんが40代で若く、未成年のお子さんが2人いらっしゃったので、本人だけでなく家族のケアという面でも気を使うし大変だったと思います。本人さんの性格のこともあり、十分な対応ができなかったかもしれないとのお話でしたが、先生をはじめ症例に関わった全てのコメディカルの対応は素晴らしいと思いました。子供さんが未成年で母親の病気を一番近くで見て、接することは辛いこともあったと思いますが、家で一緒に過ごす時間が持てたことは本当に良かったと思います。

  • 看護師

    子育て世代、母子家庭、若い世代の看取では、子供さんへのフォローを含め、関りのある方が一層大変になってきます。最後まで在宅で過ごしたいと決められていても、状態の悪化や家族の不安等から入院になるケースもあると思いますが、最期まで在宅で過ごされたのは、本人の覚悟、色々なサポート、家族の協力によるものだと感じました。子供さん方がお父さんと一緒に今後を共にされることに同世代として少しホッとした気持ちがします。

  • 看護師

    本人と子供さんとの周りに、医療者、家族、学校や社会的支援の方などたくさんの関りに支えられての看取りで、本当に自分ならどんな関りができただろうと思います。素晴らしいかかわりの中で、看取りまで行けてと思います。子供さんの思いや子供さんを思う本人(母親として)の思いを考えると、本当に皆さんの苦労、大変さを思います。症例を聞かせてもらいながらも、悩み、迷い、涙があふれそうになりながら聞かせてもらいました。

  • 看護師

    本人様がケアを拒否される中での支援は、大変であったと思われます。痛みが強く、自身の体が思うようにならないことがと医療従事者であったための強さなど、同じ医療従事者として本人様の気持ちもわかるような気がします。市内から30分と遠いところで2名体制の訪問でしたが、最期は本人の希望された自宅で迎えることができ最終的には良かったのではないかと思います。

  • 看護師

    今回は、年齢も若く、子供さんたちがいる中で、なかなか十分な関りができたのだろうかと思われた症例だったと思います。私もこのような方に対応した時は、かなり悩んで対応したのでみなさんの気持ちが良くわかります。

  • 医師

    吉田様からの質問に関して補足します。

    病院退院時には、ポータブルや車椅子移乗は見守りのみで可能で、歩行器で廊下歩行訓練・介助で入浴もされていました。おむつ交換時は腰上げ可能で、決して体位変換ができないようなADLではありませんでした。清水コーディネーターが言われていましたが、退院時には何度もまたお願いしますね、と再入院のことの念を押されました。それが在宅ケアをうけるうちに、在宅のままでという気持ちに変わっていかれたものと思います。

  • 医師

    会で述べたように今日の自治医大の会で自治医大後輩たちに活を入れときました。(笑) 私はいつもの御意見番役ですので、余りインパクトは無かったかもです。でも、もし次回後輩が参加してくれればとても嬉しいと嫌われ役覚悟で苦言を呈しておきました。八幡浜地区の在宅医療の充実と一部の医療・介護事業所のみに過度な負担が掛からない状況構築を願っております。

  • 保健師

    母が麻薬の使用に関して、とても抵抗を感じているように思い、どのような説明を行ったのかなと疑問に思いました。疼痛コントロールが課題と思います。母の我慢強い性格もあるかもしれませんが、もう少し楽に過ごせられたらと思いました。麻薬を増やすと傾眠傾向にもなり、会話も難しくなるし、やはりコントロールは難しいと感じました。

  • 社会福祉士

    今回の事例は、娘さん二人がまだ中学生と高校生と若く、母親の見取りにどのように向き合っていったのかを知ることのできる事例でした。
    自身の寿命が短いことを子どもたちに説明するのを躊躇していた中、残される家族のことを思って支援者側が本人に働きかけたり、娘さんたちに丁寧に現状を説明した上できちんと家族の意向を確認されていたり、とても丁寧な関わりをして頂いたと感じました。土地柄、遠距離という訪問サービス支援のデメリットがある中でも、できること・できないこと、サポート体制の構築など、現状を分かりやすく説明していただいたので、娘さんも自分たちの希望のもと自宅での見取りができたのだと思います。
    また、今までの事例の中では、本人・家族に関わった社会資源が一番多かったのではないだろうかと感じました。二人の娘さんの学校の先生との関り方などももっと知りたかったです。

  • 作業療法士

    対象者様と娘さん達との時間を少しでも多くとれることがとても大切だと感じました。そして、娘さん達のお母さんとの時間を少しでも長く過ごしたいという気持ちに対して、先生をはじめ多職種の方々が寄り添いながら関わりを持っているのがとても伝わってきました。

  • MSW(医療ソーシャルワーカー)

    マイクの設定がエラーになり、大変申し訳ありませんでした。
    私があの時にお伝えしたかったことを、記載致します。あくまでも、私の私見です。
    日頃から支援の現場で、利用者の方が、頑なにサービスをお断りされる時には、ご自分の中に確固たる「守りたいもの」がおありだからだと考えるようにしています。非現実的であっても、何が何でも死守したい「もの」があると。それが「何」なのかです。
    私が推測させて頂くに、ご本人は、自分ではなく子供たちとお母さんにとって、当たり前の日常を1日でも多く確保して貰きたかったのではないかと考えます。何故そう考えるかは、家に帰っても、子供たちに詳しい病状を伝えず、お母さんにも付き添いをあまり望まなかったからです。家に自分がいることで、「行ってきます」「ただいま」の普段通りを作って、子供たちの動揺をなくし、学校や部活動、総体へ普通に向き合わせたい。だから子供たちは当たり前のように外出しています。それは本人が一番望んでいたことだと思います。子供たちが日常を放棄して自分の傍に居られることはむしろ心が痛む。当たり前に元気でいる子供たちを傍で見守りたいという母親としての想い。そしてお母さんに対しては、我が子の痛む姿を見せたくない。見られたくない。お母さんに世話をされる自分自身の心が痛むので心底辛い。等です。子供たちは外出の機会が多く、ご本人の陰部洗浄の場面を見る機会はほぼなかったと思われますが、お母さんがご本人の意に反して毎日付き添われました。看護師さんの訪問時もお母さんに居られると、一番見せたくない場面を見させてしまう。その辛さを避けるために、「自分が人にお世話をされる場面」を拒んできたのではないかと推察します。
    では、どうかかわれば良いのか。
    お母さんは看護師さんに、自分がどうかかわれば良いのか玄関先で相談をされていました。お母さんもケアの対象者ですので支援が必要です。
    提案として、
    ① お母さんのお気持ちを深層からお聞きし(母であれば毎日付き添うのは普通と考える概念があるとすればそれは捨てて下さい)ご本人が毎日来なくて良いと言っているのに、来てしまう理由を丁寧に教わること。ご本人にしてあげたい気持ち、こうしていなければ居ても立っても居られない、傍に居なければ母としての責任が果たせない等?どこに思いがあるのかをしっかりと教わり、そこをしっかりと受容したうえで、
    ② 実は推測ではあるが、ご本人に上記のような痛む気持ちがあるとしたら?の提案を投げかけ、お母さんがそれをどう理解されるかをさらに丁寧に教わること。お母さんがご本人の思いを理解できたと踏まえたうえで、
    ③ 私達医療者には、ご本人の身体のために清潔管理の目標もあるので、一度お母さん不在でケアをさせて頂けないか?一度試させて貰って良いか?の提案をしてみること はどうだったでしょうか。決してお母さんを仲間外れにするということではなく、お母さんがご本人を思うからこそ、ご本人の思いに寄り添うとしたら?の提案であり、さらに身体にとっては清潔確保ができる手掛かりとなりますので、ご本人への最善のケアについて少しでも近づくことができます。そして、ご本人の純粋な想いを教わる機会も得られます。ご本人と、ご家族とのお互いへの想いあいの橋渡し役を看護師さんが担うという形です。
    後から考えるので、いくらでも言えますし、これがベストというわけではありませんが、一考察として、今後のご参考までにと思います。

  • ケアマネ

    今日の症例は年齢的にも立場的にも近く感じて、考えさせられました。離婚後一人で、頑張って生きてこられたのだろうなと感じました。医療者としてもっと突き詰めてチェックしたいジレンマを感じながら、本人や娘さんたちの思いを優先に考えられた皆さんの愛情の深さを思いました。本当にお疲れさまでした。

  • ケアマネ

    今回の事例は、未成年の娘さんがいらっしゃる40歳代の方の事例でした。高2、中3の未成年の娘さんたちは、母親が頑張って一人で自分たちを育ててくれたその背中を見て育っているからなのか、覚悟をもって看取られたと思います。
    ご本人の嫌がることに対して手を差し伸べることができなかったそうですが、ご本人なりに娘さんたちには弱気なところを見せずに「強い母」として最期を迎える姿を焼き付けておきたかったのかもしれません。 黒田CMの作成されたエコマップは、家族、身内の方、関係職種、その他の方々の関わりが一目瞭然にわかり、関係性を理解しやすかったです。

  • ケアマネ

    今回の事例では、病状をお伝えすることの難しさを感じました。しかし、森岡先生が娘さんたちの思いを汲み取りながら病状を丁寧に説明され、支援された皆様が寄り添い、話し合いを重ねていくことでご家族もしっかり受け入れることができました。皆様の支援の温かさを感じました。ご本人がなかなか支援を受け入れることができない中、いろいろなご苦労があったと思います。母としての強さなども子供たちに見せたかったのでしょう。ご本人のみならず、ご家族の支援の大切さを再度学ばせていただきました。

  • 福祉用具専門相談員

    今回、40代女性で歳も自分と近く、家族の構成からも考えるところが多い事例でありました。中高生の娘さんの心情、その関わり方で悩んだことだと思います。ご本人の痛みに対する向き合い方、娘さんへの病状告知、できる限りは自分自身で身の回りのことをしたい気丈な方、最期まで家族との関りを大切にした事例と感じました。年齢の近さ、介護への拒否がある場合、自分がどう見極めていくのか考えていきたいと思います。

  • ケアマネ

    40代シンブルマザーの症例とのことで、他人事に思えない症例でした。ご本人様のお気持ちの揺れ動きや決断されるまでを伺い、苦しい思いもされたのだとお察しします。お子様と一緒に最後まで過ごす選択をされたこと、それを支えるお子様方のお気持ちを想像するだけで、日々の一瞬一瞬を一生懸命に一緒に生きられたのであろうと胸を締め付けられる気持ちでいっぱいになりました。今回関わられたチームの皆様の冷静かつ細やかな支援を学ばせていただき、多職種連携の大切さを強く感じることができました。今後ひとり親の家庭も増え続け、このようなケースも増えてくると考えられますので、私もチームの一員となりうるだけのスキルアップを続けていきたいと思います。

  • 医師

    ウェルビーイング(well-being)に適切な日本語はありませんが、「身体的、精神的、社会的、スピリチュアルに良好な状態にある」ことを意味する言葉です。「幸福」と翻訳されることもあります。英英辞典では「the state of feeling healthy and happy;健康で幸せな状態」と簡単に定義されていることもありますが、単なる幸せhappinessとは少し異なる概念です。瞬間的な幸せではなく、多面的かつ持続的な幸せと言った状態です。「生きている、生かされている」と日々感じる満たされた状態に近いかもしれません。本症例では、ご本人が在宅でどのような生活を望んでいたのか、どのような過ごし方が本人にとってのウェルビーイング(well-being)だったのか、多くのことを考えさせられた症例でした。

第84回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和3年7月2日(金);午後8時~8時30分

<症例>

60歳代後半 男性

<傷病名>

膵尾部癌

<発表者>

座長は、旭町内科クリニック;森岡 明 医師
① 家族状況などの説明
 八幡浜医師会居宅介護支援事業所:清水 建哉コーディネーター
② 症例発表
  中野医院:中野 憲仁 医師
③ 訪問看護の経過について
  訪問看護ステーションいまいスマイル: 松本 千恵子 看護師
④ 調剤薬局の発表
  かみやま薬局:西 由佳理 薬剤師

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

<議論の要点とコメント>

●予後の判定に苦慮したことなど、病院主治医からの報告。

●在宅医療にかかわる薬剤師に期待されること。

●患者さんの態度や言動の裏に隠された社会的な痛みやスピリチュアルな痛みを理解すること。

●在宅医療を導入する段階で、医療費の限度額制度や予想される負担額などについてまず初めに提示しておくことの重要性。

<職種別参加者数>
合計  77名
医師 11名 社会福祉士 5名
歯科医 1名 ケアマネ 17名
保健師 5名 介護 4名
薬剤師 11名 その他 2名
看護師 20名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 医師

    初めて参加しました。感激しました。内容の広さと深さが半端じゃなかったです。もっと早くから参加すればよかったです。ベテル病院の方、吉田さんのここまで突っ込んだ意見には驚きました。もし生前にこのようなカンファレンスがされていたら、どうだったのだろうと考えました。現在の八幡浜の訪問看護のケアカンファレンスは有名無実で、私は参加したことがありません。医師は無視されているのでしょうか。私は参加したいです。他の医療施設の場合はどうなのでしょうか。緩和医療や死について別の場所でも色々討論されることを期待します。

  • 薬剤師

    今回の症例となった患者様は、かみやま薬局にお薬を取りに来られる方なので、薬局で話されていたことと、他の職種の方と話されていたことの違い等がわかって良かったです。薬局で得た情報を積極的にフィードバックしていく必要があると思いました。気軽にフィードバックできる場があると良いと思います。薬剤師としてどれくらい在宅医療に関わるかは今後も検討していく課題だと感じました。

  • 薬剤師

    患者もしくはコメディカルの方々へ、どうすべきか問うのではなく、薬剤師ができることを提案し、かつ相手のことを考え行動することが重要と考えます。

  • 薬剤師

    議論でもあったように、ジェネリックへの変更の推奨や残薬管理だけに留まらず、情報共有が重要であると改めて感じました。特に医師に話していないことを薬剤師には話せるということもあるので、そういった患者さんの声を聞き、より良い医療につなげることが医療連携の理想であると思います。

  • ケアマネ

    私も地域から孤立し、サービス拒否、プライベートの話は一切しない、ましてや金銭的なことに関しては話してくれないといったケースを数件担当させていただいています。将来的な話もなかなか現実味がわかないようで、ある程度の話をするものの、なかなか理解が得られない状況です。今回の事例のように最期を迎えることで、実際に家族が困惑されることが起こる可能性も高く、最初が肝心であることを念頭に置き、自分の関わり方を変え工夫することで、ご本人様やご家族様へのご支援ができるようにスキルアップをしていかないといけないと強く感じました。「お金のことの説明もケアの一つである」という先生方のお言葉にはっとさせられました。目の前のことに一生懸命になりすぎず、ご本人様やご家族様のことに向き合いながらご支援していきたいと感じました。

  • ケアマネ

    医療費や利用料の説明もケアの一部であることを、これからより一層実践していきたいと思いました。

  • 看護師

    様々な角度や視点からの情報や気持ちがわかり、多職種との連携、情報共有の大切さを改めて感じました。金銭面での不安や負担の軽減につながるには、まずは自分が十分理解して知識を深めていきたいと思いました。

  • 薬剤師

    お薬手帳については、手帳に記載されていない薬(OTCを含む)も確認するようにはしていますが、院内処方や入院時処方が記載なく困ったことがあります。患者さんには薬のヘタを貼っても構わないので教えていただけるよう頼んでいます。
    患者さんのご希望があれば薬局で情報を集約して「重複投薬等報告書」を提出することができます。手間のかかる報告書ではありますが、薬局のメリットも色々ありますので、必要な患者さまがいれば対応できます。薬局からの報告で減少に繋がった事例は、かかりつけの患者さんですべての処方箋を持ってきてもらえた患者さんで多いです。   在宅対応については、1回520円(月4回まで)で対応可能です。

  • 医師

    どのように在宅診療が進められ、各職種の方が関係しているのかがよくわかり、今後の課題もみえ、有意義な検討会でした。

  • 看護師

    事例について、多職種で話し合うことで、自分では考えられない方向から検討することができ、勉強になりました。「拒否する裏にある守りたいものを大切にする」という言葉が心に残りました。

  • ソーシャルワーカー

    退院する時には、限度額でいくらくらいかかるとか、21,000円ルールについては説明しますが細かい収入状況、介護の予算などは確認不足だったと思います。多職種が関わることで様々な場面で本人の気持ちの揺れ動き、読み取る力など普段気付かない思い等も理解できました。

  • 看護師  

    在宅療養支援に携わらせていただくようになり、なかなかイメージがわかなかったのですが、一連の流れで発表、検討していただくことでよくわかりました。
      患者さん、ご家族の面談時の一言一言であらゆる考えを検討されて支援されていることに気付かされました。経済的なことや制度についての勉強もしたうえで的確な情報提供が必要だとわかりました。

  • 社会福祉士

    本人の訴え、行動に隠れたニーズ(今回の場合は、金銭面の不安、妻への負担、今後の状況変化への不安)を引き出すことの大切さを改めて実感しました。

  • 看護師

    急な訪問依頼で対応は大変だったと思います。今回のケースは、訪問看護は必要だったとは思いますが、利用に関しては、本人や家族の意思確認を行い、入るタイミングの検討を行い、もし本人が利用の必要性を感じられない場合は、利用しないという選択もあるのではないかと感じました。

  • 保健師

    本人と関わったみんなの情報を合わせ、本人の思いがどうだったのかを考えていく中で、はじめは気付いてなかった本人の本当の姿が垣間見られたように感じました。やはり関わる者それぞれが持つ情報や考えを共有し、本人を理解し、関わり方について検討することは、本人、家族を支援していくうえで大切だと改めて感じました。

  • 社会福祉士

    医療サービスを利用した時の所得に応じた返金についての仕組み等について、一度学ぶ機会があれば嬉しいです。
    本人に対して薬や在宅サービスの提案が積極にされており、本人の選択による看取りがきちんとできた事例ではないかと感じました。周りの声掛けに対して口調が強くなることがあっても、本当にしんどい時は「先生に連絡して」と言われ、本人なりに関わりの中で信頼関係が築けていたのだなと思いました。

  • 作業療法士

    今回の症例検討会に参加させていただき、利用者の方にとって自分はどういう存在になれるのか、関わりの中で利用者様の悩みや、どういう感情をもっているのかを感じ取ることができるのか、とても難しく感じていましたが、多職種の方々の多方面からの考えを聞かせていただき、今後、利用者様と関わりの中での考え方を広げることができました。

  • ケアマネ

    今回の事例では、訪問看護の導入のタイミングの難しさがありました。しかし、短い期間でありながらも、大好きな漫画本の話をしてくださったり、食事が摂れない中で、提案した氷を口にされていたりして心を許してくださっている姿がありました。また、グリーフケアで伺った際、「皆さんに協力してもらって最期まで自宅で過ごすことができました。ありがとうございました。」と奥様からお話を伺い、笑顔で迎えてくださったとお聞きしました。早い時期から支援に入れたら違った方向性にもなったかもしれませんが、ご本人たちにとって今回の支援導入のタイミングと皆様の支援が、素晴らしかったのだと感じました。支援導入のタイミングの大切さを勉強させていただきました。

  • 保健師

    事例を読ませていただいたときは、正直「関わりにくそうな方だなぁ」と思いました。でも、症例検討会に参加して、この方の生活歴を聞き、どんなことを大切にして来られた方なのかを考えた時、全く違った人物像が浮かび上がってきました。サービスの入れやすい人、聞き分けの良い人が「関わりやすい人」になってはいけないと反省しました。
    また、今回、お金の問題ってシビアだなと改めて思いました。愛南町は県下で生活保護率が3番目に高い地域なので無視できない問題だなと感じています。

  • ケアマネ

    今回の症例検討会では、薬剤師の方が初めて薬剤師としての関わりを報告されました。ケアマネと薬剤師さんとの連携では「(介護予防)居宅療養管理指導」が挙げられます。
    ケアマネは、サービスに関わる各職種からご本人の服薬状況や生活状況を情報集約し、主治の医師または歯科医師、薬剤師へ伝達することが大きな役割だと思っています。ご本人が安心して、正確に服薬できる体制を整えるためには一方通行ではなく、多職種連携をすることが必要です。「(介護予防)居宅療養管理指導」を算定していると、おのずと顔の見える関係つくりができ、きめ細やかにご本人の支援が行えると思います。
    また、栄養状態を確認するためにペットボトルの開閉を患者様にしていただく、という話をされていましたが、このようなお知恵もお聞きでき、ケアマネとしても参考になります。
    「お薬手帳」は、ご本人に同意を頂き、拝見するのでご本人の見えるところで、主治医、薬剤師、ケアマネ、その他の職種が関わっていることを知っていただく連携ツールの一つになると改めて感じました。

  • 医師

    トータルペインは身体的苦痛・心理精神的苦痛・社会的苦痛・スピリチュアルな苦痛の4要素からなりますが、それらの4つの要素が並列で存在するのではなく、それぞれが影響しあいながら痛みの程度が決まってきます。私たち医療者は、ややもすると身体的な痛みにのみ注目し、オピオイドやステロイドなどの使用方法などに注意が行きがちです。今回の症例報告で、患者さんの態度や服薬アドヒアランスが守れないことの裏に隠れたご本人の思いが、薬剤師との交流の中で明らかになっていく過程に多くのことを気づかされた思いです。身体的苦痛に対応するとき、実は精神的・社会的・スピリチュアルな背景が身体的痛みを修飾していることを常に考えておく必要があることを、あらためて気づかされた内容でした。

第83回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和3年6月4日(金);午後7時~8時30分

<症例>

80歳代 女性

<傷病名>

肺非結核性抗酸菌症(肺MAC症)、誤嚥性肺炎、慢性呼吸不全

<発表者>

座長は、旭町内科クリニック;森岡 明 医師
① 家族状況などの説明
  居宅介護支援事業所:井上 英津子 ケアマネージャー
② 症例発表
  三瀬医院:片山 均 医師
③ 訪問看護の経過について
  八幡浜医師会訪問看護ステーション 坂本 美恵子 看護師から
④ ケアマネージャーからの報告
  居宅介護支援事業所:井上 英津子 ケアマネージャー

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

<議論の要点とコメント>

●NIPPVの適応と、導入にあたってのACPの進め方など。ACPは、何も在宅医療が始まってからのものではなく、それ以前からプロセスとしてすでに始まっていることを理解する必要がある。

●「非がん症例」「がん症例」にかかわらず、家族が在宅医に何を望むか、どんな風に過ごしたいか、を十分くみ取ることが大切。

<職種別参加者数>
合計  81名
医師 13名 社会福祉士 2名
歯科医 3名 ケアマネ 20名
保健師 4名 介護 6名
薬剤師 9名 その他 3名
看護師 20名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 薬剤師

    終末期医療での医師、ケアマネの考え方を伺え勉強になりました。ご本人、ご家族にとって限りある時間の中で、物事を決定していくことは大変なことだと思います。医療・介護を受ける立場にとって、より良い選択肢を提示することが必要だが、難しい事だと思いました。

  • ケアマネ

    肺非結核性抗酸菌症という病気について初めて知りました。コロナ禍における、サービス自粛及び訪問自粛について取り上げていただき、とても考えさせられました。肺の病気ともなると、コロナ感染リスクも如何に軽減しながら、日々のケアに入らなければならず危険との隣り合わせで、ご支援されていたスタッフの皆様のご尽力に頭が下がる思いです。書面だけで拝見するのに、「どれだけつらい思いをされたことだろう」と思いをはせていましたが、デイでのリハビリの様子を動画で流していただき、ご様子をうかがうことで自分の中で想像していたこととは違う様子で頑張っておられる姿であり、この方の生きようとする生き様を感じることができました。とかく「個人情報」と言われる世の中ではありますが、ご承諾を得ることができれば、画像でのご様子等も学ばせていただければと思いました。

  • 医師

    今回の事例は大変興味深く、これからの緩和ケアのあり方(非がんの緩和ケア)を考えるすばらしい発表だと思います。

  • 薬剤師

    今回の症例は肺非結核性抗酸菌症でしたが、クラリスロマイシンとエサンプドールに耐性があったとのことでした。薬剤師としては、いかに耐性菌を作らないか、抗生剤の適用使用に関わっていけるかが大切だと思いました。今回の症例の方のご家族が看取り介護を振り返って「3人の時間が過ごせたことは本当によかった」と仰っていたので最期をどう過ごすかということは重要なことで、在宅の必要性を感じました。また、私たちが終末期に関わる時間は短いものですが、最期の大切な時間をどのように支援するかが重要だと思いました。そのためにも本人、ご家族とコミュニケーションをとって、本人が今まで生きてきた歴史を知り、本人やご家族に寄り添った良い提案ができるかが大切だと思いました。

  • 看護師

    ケアマネさんの利用者に対する関わりを知りことができ良かったです。ケアマネさんが一生懸命、家族さんに寄り添っている姿を知り、私たち看護師も精一杯関わり、連携を取りながら支援する大切さを学びました。また、呼吸器疾患の方のケアについて学ぶことができました。

  • 薬剤師

    武田医師が仰っていた、在宅に送ったらそれで終わりではない。確かに私も思います。そのつなぎ目での、入院時、退院時の情報共有の重要性と、その後の経過もしっかり追っていくことが大切だと思いました。

  • ケアマネ

    ケアマネとして担当になったその日からを見て、今後の利用者様の生活を考えるのではなく、担当になるそれ以前の、ずっとずっと昔からの利用者様の生活をアセスメントすることで、今後を一緒に考えることがとても大事だと感じました。日々の仕事でどうしても、医療の分野は、知識的にとても薄いので、利用者様が望む生活にするためにはどこに相談、どんな医療機関を活用すれば良いのか分からない。自宅で看取りとなる場合、利用者様、ご家族様の望む生活を実現するには、どの医師に相談すれば良いのか等もよく分かっていない。今後、医療分野の知識を共に、いろいろなことを相談できるよう病院等と繋がりを持つことが大変必要だと思いました。

  • 介護支援専門員

    非がんのケースではありましたが、今回のお話の中で、どんな生活を送りたいか、終末期に入ってからの過ごし方、どう過ごすのか、普段から本人、ご家族の想いや考え方を聞いておくことで、治療の方向性なども変わってくることを感じました。本人の元気な時から関わることも多いので、日ごろから本人や家族と話をしたり、どんな生活を送ってきたのか聞いたりして、終末期のケアが必要になった時、よりよいケアにつなげていくようケアマネとしてできることをしていきたいと思います。

  • ケアマネ

    この在宅緩和ケア症例検討会では、同時進行で支援者が関わり始めるケースが多いのですが、今回のケースは、井上CMが最初にご本人の担当CMとして関わっている点が、今までのケースと異なっています。急速な経過をたどるがんとは異なり、認知症の進行がある中で時間をかけてご本人とCMは信頼関係を築いてこられたと思います。ご本人・家族の希望や大切にしていることを尋ね、共感し、理解することはいい支援をしていく上で、とても大切であること、後から追いついた支援者側も関わりの期間の短さにこだわらず、親子関係の歴史、ライフヒストリーを知ることでより良い支援が提供できることを学びました。

  • 社会福祉士

    娘さん二人が母親のことを大切に思い、戸惑いながらも最期までみとることができて良かったと思いました。今回の事例では、他に同居する長女の夫や数回帰省した孫が、本人の見取りにどのように関わり、どのような思いがあったのかなと思いました。孫の帰省でサービスやケアマネの訪問がストップして、本人や家族は大変な思いをしたと記載がありましたが、孫の帰省は祖母に対する思いからだったのか、他の理由があったのかも知れたら良かったです。

  • 福祉用具専門相談員

    今回の症例では親子の関係、絆といった部分が大きなテーマとなりました。特殊な病例でもありましたが、介護力という視点からでは知識が豊富とは言えませんが、姉妹がお互いで最大限支えあい、母への感謝の思いが痛いほど伝わってきました。コロナの影響がありお孫さんの帰省のたびにサービスの提供ができず関わられたスタッフ、事業所様も、もどかしさを感じていたと思います。その中にあって在宅で最期まで、ご家族で過ごされた時間は大切なものになったと思います。自分も今後、その大切な時間をどう作っていけるかを考えさせられました。

  • ケアマネ

    私の担当の方もNIPPVは「こわい」とのことで「外してくれ」と指示通り実施できず、楽になるためにどうしてと疑問でしたが、他にも同じような方がいることを聞いて納得できました。

  • 作業療法士

    今回の症例検討会に参加させていただき、患者さまの終末期に関わることの重要さを感じ、これまでどのような生活をされてきて、家族様とのこれまでの生活史も含めて、自分がどのような関りができたかとても悩みました。検討会の中での多職種の方々の意見がとても参考になり、自分の考えの幅を広げることができました。

  • ケアマネ

    私たちが関わり始めてからではなく、今までの生き方、生きた歴史を知ることの大切さを再度確認させていただきました。また、ご本人やご家族の姿を通して、私たち支援者も成長させていただくことや気づかされることもたくさんあります。そのような経験を次からの関わりに繋げていけたらと思っております。新型コロナウイルス感染予防のため、訪問できない時期もありご苦労もあったかと思います。これからもこのような状況が発生することも予想されます。私がケアマネとして関わることとなった場合、訪問できないからこそ、よりご家族が疲弊していないか、不安が強くなっていないかの確認をいつも以上にして行きたいと感じました。

  • 医師

    患者様の死が近いことが予期されるとき、実際に死別を経験する以前から家族が悲嘆を感じるとする「予期悲嘆」という概念があります。患者様の死別過程に直面した家族が、心理的ストレスを抱えるのは想像に難くありません。このような予期悲嘆が想定されるとき、医療スタッフはどのようにケアを提供すべきかが常に問われています。今回の非がん症例では、井上英津子ケアマネージャーが在宅医療導入前より関わり、家族の思いもよく理解されており、適切なケアの提供、医療の提供が計画的に実施されました。片山先生、坂本看護師の適切な判断で医療的処置もタイミングよく行われ、ご家族の安心度は高く、「予期悲嘆」もかなりの部分軽減されたのではないのでしょうか。「がん症例」にはない、新鮮な症例報告でした。勉強になりました。ありがとうございました。

第82回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和 3年5月14日(金);午後7時~8時 30 分

<症例>

70歳代 女性

<傷病名>

左進行乳がん・多発転移

<発表者>

座長は、旭町内科クリニック;森岡 明 医師
① 家族状況などの説明
  八幡浜医師会:清水 建哉 コーディネーター
② 症例発表
  宇都宮病院:大田 康詞 医師
③ 訪問看護の経過について
  訪問看護ステーションいまいスマイル 松本 千恵子 看護師から

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

     ●追加PDFファイル:「これからの過ごし方について」

<議論の要点とコメント>

●病院医師が在宅主治医として訪問診療を実施、訪問看護との緻密な連携の経験をお話しいただけました。

●コロナ禍での、訪問診療のありかた、訪問開始時のジェノグラムやエコマップの作成が緊急時に極めて重要な役割などが話されました。

<職種別参加者数>
合計  80名
医師 15名 社会福祉士 6名
歯科医 2名 ケアマネ 14名
保健師 6名 介護 6名
薬剤師 7名 その他 3名
看護師 20名 事務 1名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • 保健師

    私もちょうど同じようなケースに関わっていて、今回の症例検討会とケースと重なりました。病院でも在宅でも、どんな選択をしても、本人や家族が後悔しない選択ができたらいいなと思います。家族や本人の気持ちが置いてきぼりにならないように注意しながら、関係者の方と一緒に動けたらなと思いました。

    愛南町では、1事業所のみ1週間で、残りの事業所は2週間サービスが止まるようです。もし在宅を選択した時に、サービスが入れないとなった場合、家族だけで乗り越えられるのか…事業所としての感染対策も大切だし難しいなと思いました。

  • 保健師

    コロナ禍で、家族が県外から帰ってこられると、サービスや入院等が制限され、困ることがありがちですが、今回のように、入院が制限されたことで、在宅で家族に看取られることが出来たケースもあり、結果的に振り返ってみると良かったと思えることもあるのだということが、コロナ禍の一つの救いのように感じました。

  • ケアマネージャー

    ケアマネージャーとして初回訪問でアセスメントをする際、必ずジェノグラムを作成しています。また、ジェノグラムを基本としてエコマップを作成すると利用者と家族、周辺の社会資源との間の関係性が明らかとなり、利用者がどのような関係性を持ちながら生活をしているのかを把握することができます。コロナ禍の中、対面での情報共有が難しいとますます、丁寧な説明や正確は情報共有が必要となってきます。ジェノグラムで複雑な家族関係を「見える化」して利用者を知る様々な手掛かりを得ることはより必要となってくるのではないでしょうか。

  • ケアマネージャー

    コロナ禍の中では、面会ができなかったり、県外からの帰省があると入院を望んでいてもできなかったり、様々な問題が生じてきます。今回の事例ではそのような状況の中、皆様の関わりにより、最期をご自宅で迎えたいとのご本人の思いに寄り添えました。

    今回、悩みを感じとり、一緒に迷い、思いを共有してあげることの大切さを学ばせていただきました。「今は安心して自宅で最期を迎えることができるようになったのですね」とご主人が話してくださったように、私自身も皆様が安心して在宅で療養ができるような環境づくりをして行きたいと思います。

  • 訪問入浴

    今回の症例検討では、訪問の主治医ではないのに訪問看護との連携が上手くとれていて良かったです。旦那さんの趣味が写真を撮るのがあったのですが、毎日撮っていたのかのかなと思いました。次女さんとの関係で、精神的に弱い次女さんのお世話をしていたのがあったのですが、最期に近づくとご本人さんと次女さんとの関係性はどうだったのかなとは思いました。

  • 医師

    八幡浜地区の先生方をはじめ、在宅緩和ケアの専門的視点を要する症例検討会に魅力を感じました。今後とも連携を図らせてもらえればと思います。

  • 社会福祉士

    コロナウィルス流行の中で入院中であれば遠方在住の家族が帰省しても何かと面会制限で難しい面があると思います。在宅での看取りを選択されたメリットとして、家族も面会の制限が無いことで都合を合わせやすいこともできたと思います。尚、周りからのサポートが充実出来たからこそコロナ流行の中、看取りをされたとは貴重であり勉強になりました。

  • 社会福祉士

    貴重なケースを勉強させて頂きありがとうございました。コロナ禍において面会制限やサービス制限がある中でも工夫することでお客様のご移行を支える支援ができる方法を知りとても勉強になりました。研修では「セントケアは防護服でどんどんケアにいく」というような内容になっていましたが決してそうではなくご家族様が戻られる折には二週間支援して頂いてケアマネもセントケアスタッフも自分の生命を守りながら支援に入らせてもらっています。今回のように「コロナ禍ならでは」の乗り越え方を一緒に勉強させて頂けてよかったです。またいろいろなお知恵を頂きながら切れ目のないケアが提供できるように私も学んでいきたいと感じました。

  • 保健師

    ご本人様の気丈な姿を感じながらもコロナ禍であり入院が難しくなったという環境で在宅の看取りに繋がったことは家族にとってもご本人様にとっても良かったのではないかと思いました。バックベッドの体制についてはもちろんのこと夫だけでなく娘二人の協力を得られたことは今回の在宅での看取りにおいて大変有効だったのではないでしょうか。

  • 社会福祉士

    最終的に在宅で看取ることになったとき本人や家族に余裕がないと新たに関わる先生と一から信頼関係を築くことはストレスになるため、長年かかっていた先生に在宅でも対応して頂いたことは良かったと思います。

  • 福祉用具専門相談員

    コロナ禍の中、在宅緩和に関わらず家族の県外帰省のため多くのサービスが中断されるケースは多くありました。今回の事例で最後を病院でという流れでバックベッドの安心感は2月のコーディネーター研修にもありましたが、家族にとっての不安要素を除く要因になっていると思います。れでも在宅で家族と共に過ごす時間や想いを繋げられるように自分の関わる最善のサービスが行えるように日々の訪問や対応をしていきたいと思います。

  • 医師

    当院より在宅緩和ケアコーディネーターにお繋ぎし地元の連携後、患者さんがどのように在宅で過ごしているか、なかなか知る機会がありませんでした。本日の検討会で地元の医師や看護師がこのように関わっていたのかを知ることができました。ありがとうございました。

  • 訪問看護

    連携の重要性、利用者の気持ちを読み取るアセスメント力が大切だと思いました。

  • 薬剤師

    現場のリアルな部分を知ることが出来大変勉強になりました。患者さんが悔いなく最後を迎えるためには患者さんの心情を汲み取り一緒に考えていくことに付け加えて医療従事者間の情報共有も重要であると改めて学びました。

  • 薬剤師

    コロナによって医療介護の流れが変わってきたなと知ることの出来た事例だと思います。本人や県外のご家族様の心情を尊重する事と医療介護従事者を守る事のバランスを取ることの難しさに気づけました。がんの告知について医師や看護師の方からお話しが聞け普段しれない側面を知ることが出来ました。薬局勤務のため処方箋より情報収集し患者様への対応を行うので病院側や介護事業所の方の対応を知れたので今後の薬の説明に反映させようと思います。

  • 薬剤師

    本日も「連携」の大事さ、すぐに報告しあえる関係が重要と症例から感じました。

    太田さんのおっしゃったように「節目」を意識し「節目での扱い」を大事にしていこうと思います。

  • 看護師

    患者様の症状家族の思い考えながらその時々に応じての対処に勉強になりました。

    白菊会を知ってはいましたが、実際に白菊会に献体されたお話しを聞いて自分自身考えさせられました。

  • 薬剤師

    看護師、医師とのコミュニケーションの必要性、コロナでの本人の背景の子供たちとの連絡先などの情報を収集することの目的を相手本位で説明するなど勉強になりました。

第81回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和 3年4月2日(金);午後7時~8時 30 分

<症例>

70歳代 男性

<傷病名>

原発性肺腺癌、転移性脳腫瘍術後再発

<発表者>

座長は、矢野脳神経外科;矢野 正仁 医師
① 家族状況などの説明
  八幡浜医師会:清水 建哉 コーディネーター
② 症例発表
  三瀬医院:片山 均 医師
③ 訪問看護の経過について
  訪問看護ステーションSetsuko所長 菊池 世津子 看護師から

<症例>

報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

<議論の要点とコメント>

●本人の訴え(呼吸が苦しい)と、客観的データ(SpO2は正常)の乖離をどのようにとらえ、対応すべきか。本人の訴えを受容し、ステロイドや塩酸モルヒネ(オプソやアンペック坐薬など)をうまく使う必要がある。

●「せん妄」の対応の仕方について。せん妄は「可逆性」と「不可逆性」の鑑別が必要で、可逆性せん妄であれば、原因の除去と対症療法としての抗精神病薬により対応を。不可逆性せん妄であれば、抗精神病薬とベンゾジアゼピン系薬併用により苦痛を緩和する。ただし、ベンゾジアゼピン系薬自体がせん妄の原因薬となることがあるので注意が必要。
等が議論された。

<職種別参加者数>
合計  81名
医師 11名 社会福祉士 5名
歯科医 0名 ケアマネ 18名
保健師 7名 介護 14名
薬剤師 6名 その他 2名
看護師 16名 事務 2名

<アンケートから>

以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  • ケアマネ

    今回の症例は、ご家族様の精神的な負担が強く有ったと思われる中、献身的に看取りをされたことがとても印象的で有った。ご本人も頭痛、体の痛みが有る中懸命に過ごされる様子を感じた。精神的神経症状に対して薬物使用の内容がとても専門的で勉強になりました。 いつも思う事ですが、十人十色のドラマが有り価値観、意向等詳しくアセスメントし対応する必要性を感じます。

  • ケアマネ

    今回は、医療的な症状緩和についてがテーマのようで、息苦しさなど主観的な訴えとバイタルサインなどの客観的情報がイコールではなく、本人の訴えをいかに和らげてあげるかが重要であることを学ばせていただきました。

  • ケアマネ

    認知症や脳に障害がある方などは、どこかに苦痛などがあっても、うまく痛みなどを表出できないことがあり、それによりせん妄などに繋がってしまうケースがあります。せん妄だけに捉われてしまうと、その本質が把握できないこともあることを改めて学びました。直接的に支援を行う立場ではないケアマネとして、一歩引いた立場で冷静に判断できる場合もあるかとも感じております。すこしでも気が付いた変化などを医療関係者にお伝えできるよう、今後も医療面についても含めて自己研鑽に努めていきたいと思います。

  • 保健師

    一つの症例について、こういった症状についてはどのような対応が出来るのか、良いのか等、深く読み取って対応の仕方を学べたので大変良かったです。このように事例を積み重ねることで、ケースに対応する時、より良い対応ができるようになるのではないかと思います。

  • 保健師

    事例の振り返りを関わった主治医や訪問看護さんと一緒にさせてもらうことで、かかわった関係者の思いや配慮したこと、又、ご本人やご家族の思いをどう受け止め、どうケアをしたかを聞かせていただき、とても勉強になりました。

  • ケアマネ

    グループホームでは、まだ緩和ケアの看取りを行ったことはありません。介護ではできないことも多く、出来ることは少ないと思っていましたが、私たちにできることを考えさせられました。先生方のお話を聞けて勉強になりました。

  • 薬剤師

    多職種の方々の見解が聞けて勉強になりました。薬剤師も緩和ケアに積極的に参加していく必要があると感じました。これからは、疼痛緩和で麻薬を使用するケースが多々生じてくると思います。麻薬の管理方法、使用方法、注意すべき副作用の初期症状等で力になれると思います。

  • 社会福祉士

    亡くなる際に、褥瘡がなかったとありました。いかに手厚い介護をされていたのかが分かりました。不安はあったとのことでしたが、素晴らしいと思いました。

  • 看護師

    行動・発言1つ1つにも理由や苦痛があることを今一度頭におき、医師と連携をとって苦痛軽減に努めていきたいです。

  • 保健師

    いつも自分の足りない所に気づかされ、新たな発見があります。薬剤については、自分の苦手分野ですが、疼痛緩和には必要なことだと思いました。家族が何を大切にされてきたのか、どういう家族なのか、どうありたいのか。症状への対応の仕方はもちろん、その背景にある家族の在り方に思いを巡らせた支援についても考えることが出来ました。ご本人・ご家族と向き合いながら関わっていける支援者でありたいと思いました。

  • 看護師

    BSCの患者に対して、夜間不眠の時に、モルヒネ(オプソ)を使用することが効果があることを学ぶことが出来ました。臨床で医師とも連携していきたいと思います。

  • ケアマネ

    コーディネーター、主治医、訪問看護、それぞれの視点から発表していただき、とても積極的な検討会であったと思います。ケアマネージャーがどのように本人・家族と関わったのか、どのように支援者との連携を図ったのか、というところも教えていただけると良かったです。症状緩和についてや、がん末期の利用者・家族へのかかわりについても、とても勉強になりました。

  • 作業療法士

    本人様の思いを聞きながら、家族様とのこれまでの生活や気持ちを読み取り、何が一番大切なのかということを考えることの大切さを感じることができました。今までの自分自身を振り返りながら、これからも利用者様と向き合っていきたいと思います。

  • 社会福祉士

    治療期から関わらせていただいた症例で、本人が本当に強く希望され、八幡浜に帰られた症例でした。帰られてからの生活、奥さんの介護状況、他のご家族の支援状況、その時々に何を思われながら、どう終末期を自宅ですごされたのか、気になっていました。今回詳細にそういったことをお聞きでき、本当に在宅に帰ることができてよかったと思いました。  伊方から妻の実家に帰ることを決めるまで、何度もご本人と話し合いをして、奥さんと何度も電話でやりとりをしたことを今でも覚えています。その時もエアコンをつける場所やベッドを置く場所など、細かいところも本人に確認していた奥さんの姿から、在宅に帰っていかに力を注がれるか想像ができました。BSCになり、退院直前にはせん妄や失見当も見られ、より厳しいICを主治医から受けられました。それでも、帰れる日を迎えられてよかったと奥さんをはじめ、ご家族みんながおっしゃっていました。  そういった状況を思い出しながら症例検討会に参加させていただきました。中橋先生や吉田さんのご意見も大変勉強になりました。

  • 医師

    脳転移、癌性髄膜炎の症例は実際に経験したことがなく、間接的ではありますが経過を知ることができてよかったです。

  • 薬剤師

    終末期の薬物療法について学び直しをする必要性を感じました。添付文書や医薬品集では分からない使い方、そのメカニズムなど学び直します。

  • 介護福祉士

    利用者様と接するうえでバイタルなどデータに目が行きがちになる時もあるが、データは一つの目安にして会話も傾聴を行いながら本人の医師を一番大切にしようと思いました。 ただ支援を行ううえで難しい部分があるため納得して頂くまで説明し出来る限り利用者様の想いに近づけるような関係性作りが一番必要と感じました。

  • ヘルパー

    自分ができること、気付きの視点を持つために参考になるご意見をいただきました。最期までより良い在宅生活を送る上で、お役に立てるようにするためにどうかかわっていくべきか、考えさせられる機会となりました。

  • その他職員

    分かってはいても実際に現場に立つとどこまでご家族様やご本人様に踏み込んで良いものか分からない部分が出てくるのを今回の症例を聞いて再認識しました。口では簡単に「お客様に寄り添って」「ご家族様に寄り添って」と伝える立場にありますが現実とのギャップが生じてしまう事を勉強させて頂きました。ご家族様が「自分達で出来る」と思っていることに対してサービス側から何が出来るのか、今後は現場の方々と一緒に考えて行きたいと思います。

  • ヘルパー

    今回の症例では、緩和ケアになってから数か月あり、ご本人や家族の苦労がわかりました。家族は、とても親身にケアしていたと思います。つらい時や苦しい時には、訪看さんや主治医の先生やケアマネさんからのお声はとても励まされたと思います。訪問入浴でもただお風呂に入れるだけでなく、ご本人さんの様子や家族さんの心情をお聞きできればと、いつも気にしています。今後も寄り添えるケアができるようにスタッフとも共有していきます。

  • 医師

    せん妄の捉え方についていろいろな意見が聞けて良かったです。せん妄の理由は、言葉にできない身体の苦しさがどこにあるという考え方にならって、臨床で遭遇したせん妄に対応していきたいと思います。

  • 社会福祉士

    支援中に家族に介護技術の助言をして関わることができ家族の自信や安心感につながっている良かったのではと思いました。支援者側の介護技術の知識の勉強の機会もあれば良いと思いました。

  • 訪問看護

    訪問回数を制限された中、電話訪問での介護支援をされたことは本人家族にとって心強かったと思います。呼吸困難感という主観的症状に対しては早めのモルヒネが有効で不安感や不眠の防止にもつながる事を学びました。また認知症や脳疾患により自分で症状をうまく伝えられない方には暴言やふみんとして出現してしまう事もあると聞き実際の現場でも念頭においておきたいと思います。今後の利用者や家族様が穏やかな最期を迎えることが出来るよう他職種の方との連携が重要と感じました。

  • 看護師

    主観的データや客観的データのうち外野バイタル安定していても主観的な事を改善してあげることが大事ということが新たな学習できて良かった。訪問看護でも他人が来ることの疲れや気遣いがあること、私もしてあげたい、やってあげたいの気持ちが押し付けにならないようにしなければならないとハッとしました。

  • 薬剤師

    緩和ケアではまず身体の苦痛を取ることが大事であること。身体の苦痛が怒り不眠せん妄に繋がっていることがあるという事が分かり勉強になりました。

  • ケアマネ

    私も、この家族はなぜ、ヘルパーの支援をずっと拒否されたのだろうか・・・と疑問に思っていました。Setsukoさんの話から、亭主関白だった?夫を最期まで看取ることは妻としての役目、そして娘さんは最期の親孝行として受け止めていたのでは…と思いました。

    コロナ禍の中、病院は面会禁止で会えなかったり、会えたとしてもリモートであったりで触れ合うことなく亡くなるケースが多い昨今、こうして自宅で命を全うすることができたことは本当に良かったと思います。

診療のご案内

旭町内科クリニック

〒796-0086
愛媛県八幡浜市旭町三丁目1510番地73
TEL.0894-29-1222 TEL.0894-29-1226

もの忘れ外来の案内

※ 予約制により、原則月曜日〜木曜日の午後に一般外来と並行して物忘れ外来を行なっています。
上記電話番号より受付にて予約をお取り下さい。
なお初回診療は15:30〜17:30頃まで約2時間を予定しておいて下さい。

2019年1月7日~22日

<愛媛新聞掲載>

掲載許可番号
d20190822-006

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

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