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在宅医療で遭遇するサルコペニア、マラスムス、クワシオルコル、悪液質など

在宅医療で考える栄養学用語
在宅診療で機能やADLが低下している障害者、高齢者を診察すると、機能低下の原因がサルコペニア(筋減弱症)(「サルコ」は肉・筋肉、「ペニア」は減少・消失を意味するギリシャ語)や低栄養であることが少なくありません。
一方、マラスムス(英語:marasmus、ドイツ語:Marasmus)は、タンパク質-エネルギー栄養障害の一種で、体に備蓄されたエネルギーとタンパク質がいずれもすべて枯渇するものをさします。浮腫は一般的に起こりません。
クワシオルコル(クワシオルコールあるいはクワシオコアとも表記します。英語・仏語:kwashiorkor, 独語:Kwashiorkor)は栄養失調の一形態。原因はいくつか考えられていますが、一般にはタンパク質の摂取量が十分でないためにおきるとされています。大部分の症例は1歳から4歳の小児に見られるますが、高齢社会を迎えて寝たきりで栄養障害をきたさざるを得ない終末期に観察される病態です。浮腫が必発と考えていいでしょう。
悪液質はEPCRC(European Palliative Care Research Collaborative)の定義では「悪液質は多くの要因による症候群である。従来の栄養サポートでは十分な回復が難しい骨格筋減少を認める。脂肪は喪失すやることもしないこともある。食思不振や代謝異常の併発で蛋白とエネルギーのバランスが負になることが、病態生理の特徴である。」とされています。 先日、6月6日:八幡浜がん緩和ケア症例検討会のテーマ「呼吸困難感」で、肺がん胸水貯留症例で、余分な輸液を一切しなかったことがむしろ胸水貯留を減少させ全身浮腫も起こさず楽に過ごせた症例でした。もちろん、呼吸困難感に対してオプソ内服液やステロイドなどの薬物治療も併用していますが、終末期の輸液・栄養の在り方を考えるヒントがありました。
今回は、輸液・栄養については主題から外れていましたのでこれらについては議論されませんでしたが、今後のテーマにしたいと思います。
病態別で考えた場合、褥瘡にはタンパク質の多いラコールを、腎機能障害や慢性呼吸不全などの肺疾患のある患者には低たんぱく質で脂肪分の多いエンシュア・リキッドを勧めることがあります。
ちなみにマラスムスとクワシオルコルの覚え方。
マラスムス--エネルギー不足
クワシオルコル--たんぱく不足
マラスムス⇒わらスムス⇒「わら」は稲わらを連想する。そうすると米はエネルギー
クワシオルコル⇒イワシオルコル⇒「いわし」は魚。たんぱく質。